前回の記事で、派遣として働くために派遣会社の登録会へ参加し、派遣社員として登録する方法を説明しました。
今回は派遣社員として登録が完了した、その後の流れを解説していきます。
派遣の種類
一般的に派遣社員には「常用型派遣(無期雇用型派遣)」と「登録型派遣」の2つの種類があります。
派遣会社と派遣スタッフの間に期間を定めずに雇用契約が結ばれている状態。この場合、派遣スタッフは派遣先企業との契約が終了しても派遣会社には雇用されているためスライド式にそのまま新しい企業に派遣されます。また仮に企業に派遣されていない期間があっても派遣会社に雇用されているため給料は支払われ続けるのも大きな特徴です。
登録時は派遣会社への採用選考に応募し選考を通過する必要があります。
登録型派遣
派遣を希望する労働者があらかじめ派遣会社に登録しておき、派遣先企業が決まったら派遣元(派遣会社)と有期雇用契約が生まれる状態。派遣契約が終了となると同時に雇用契約も終了となります。
派遣先が決まるたびに雇用契約を結ぶことになり、1度派遣期間が終了した後に同じ派遣元から同じ派遣先へ派遣される場合も改めて雇用契約を結ぶことになります。採用選考などはなく、派遣スタッフは派遣元の会社を紹介してもらえるよう、事前に登録しておくだけとなります。
登録型派遣エントリー~就業までのながれ
ここで、登録型派遣に登録した私たちが企業に派遣され働くまでの流れを見てみましょう。
※担当営業
派遣先の企業を担当する派遣会社の人のこと
※派遣先企業の担当者
人事担当、配属予定の課の課長、部長など企業によって役職も人数もバラバラです
自分が仕事を探し始めてエントリーしてから、とんとん拍子に話が進んだとしても就業開始までには最低でも2週間~1か月程度の時間がかかることを覚えておいてください。
エントリーした仕事=就業する仕事ではない
ほとんどの派遣会社のホームページでは、就業するまでの流れとして
①お仕事紹介→②エントリー→⑧合意確認→⑨就業開始
このように紹介しています。
え?社内選考~職場見学・顔合わせは省いて紹介してるってこと?
そうなのです。このため自分で希望・エントリーした仕事にそのまま就業できると思って派遣会社に登録する人がたくさんいます。
私も最初は、派遣会社の仕事って早い者勝ちで誰でもできると思っていました
しかし実際は違います。
ここにAという派遣会社があるとします。
まずA派遣会社は1つの仕事案件に対し、応募してきた複数の自社登録スタッフを社内選考で1人に絞ります。その1人がA派遣会社代表として企業との面接へ進みます。同じようにしてB派遣会社やC派遣会社の代表も同じ企業の面接へと進みます。派遣予定先の企業はこのように複数の派遣会社から選りすぐりの人材を集め面接を行い、最終的に選ばれたたった1人がその企業で働くことができるのです。
か・・・かなりせまき門なんだね・・・
みなさんホームページを見てエントリーしてくるので、高時給の案件や人気の大企業の案件となると10人以上が面接を受けに行くということも珍しくはないのです。
隠された面接の存在
さっきから面接面接って言ってるけど就業までの流れの中に面接なんてなかったよね?
実は派遣労働者を複数の中から選考する行為は労働者派遣法で禁止されています。
また、履歴書や職務経歴書の提出要請も法律で禁止されており、派遣先企業に派遣社員を選ぶ権利はありません。
本来の職場見学とは
・派遣社員自らの意思・判断で行われる職場訪問であること
・事前の業務内容の打ち合わせを行うこと
・実際に仕事を受けるかどうかは派遣社員自らが判断すること
・職場見学は派遣先の評価を受けるものではないこと
上記がしっかり該当するものが正しい職場見学となります。
派遣先企業は先にも書いたとおり、派遣社員の履歴書を取り寄せて見ることはできません。その代わりに「※キャリアシート」という名のついた派遣社員の氏名・年齢・学歴・過去に就業した企業の詳細や固有名詞を伏せた資料が派遣会社から派遣先企業へ前もって送付されます。
※キャリアシートは派遣会社によってそれぞれ名前が違います。「スキルシート」「ジョブカード」などいろいろな呼び方があります。
キャリアシートに書かれている内容
・経歴の概要
・保有資格
・保有スキル
・企業で活かせるスキル
・派遣スタッフのイニシャル・ID
・備考(就業上知っておくべき事項)
派遣先企業の人事担当は、まずこのようなキャリアシートを見て選考をします。無事にこの選考を通過することができたら「採用面接」もとい「職場見学」が行われます。
本来は選考を行うことができないため「職場見学」は1度きりしか行うことができません。なので派遣社員、派遣会社の営業担当、人事部、配属先予定の部の部長、課長などのメンバー全員のスケジュールを調整してからの実施となります。
まとめ
今回は派遣にも種類があることと、エントリーした仕事に必ずしも就けるわけではないということをお伝えしました。
実際筆者も長く派遣社員として働いていますが、この事実を知ったのは本当に最近です。みなさんも正しい知識を身につけることで気持ち良く働けるということを知り、派遣社員として長く働くことができるようになると良いですね。